株価が上昇する企業のチャートとは
①取っ手付きカップ
・カップを横から見たような形をしている
・7〜65週間かけてカップを形成(大体は3〜6ヶ月)
・高値(カップの頂点)〜安値(カップの底)の株価調整幅は12〜33%
・多くの場合カップの底は鋭いV字型ではなく丸いU字型(複数回小幅の下落で振るい落としを行っているということ)
・買いポイントは取っ手の高値
「取っ手」部分の基本的特徴
・取っ手部分の形は1〜2週間かけて形成され、下落する値動きの終わり付近で振るい落としが行われる
・取っ手部分の下落した安値の所では出来高が小さくなる
・取っ手はカップの高値から安値の間の上半分に形成され、その銘柄の10週移動平均線よりも上に現れる
・安値が切り上がるか、下落せずに下値が真横に動く取っ手は上にブレイクアウトする可能性が低くなる(古い落としが行われていないため)
・取っ手の下落幅は強気相場なら8〜12%程度、弱気相場であれば20〜30%まで落ちることもある
・機関投資家が買い集めをしている場合週足チャートで高値と安値の幅が小さく、同じくらいの終値が数週続き市場をコントロールする
・カップの底部分で1〜2週間、取っ手部分の後半数週間の安値の時期に出来高が劇的に減少する(機関の買い占めが進んで市場に株が流れなくなっているため)
②取っ手付きソーサー型
・取っ手付きカップ型と似ているが、ソーサー型はカップ型よりも長く浅い形状をしている
③ダブルボトム型
・アルファベットのWのような形だが、2つ目の底が1つ目の底と同じ〜1、2ポイントほど明らかに下回る
・買いのタイミングはWの真ん中の高値を更新したところ
④平底型
・取っ手付きカップ型、取っ手付きソーサー型、ダブルボトム型を抜けて株価が20%ほど上昇したところで、2回目のベースとして現れる
・5〜6週間にわたり株価が横ばいで推移し、10〜15%以上の株価調整は入らない
⑤正方形型
・平底型と同じように上昇した後に現れる正方形のボックス
・4〜7週間ほどかけて形成され、株価調整は10〜15%程度
⑥上昇後の狭いフラッグ
・株価が4〜8週間に100〜120%程急上昇して始まり、その後横ばいになり10〜25%の株価調整が3〜5週間ほど続く
⑦上昇ベース
・平底型と同じように取っ手付きカップ型、取っ手付きソーサー型等のパターンを抜け出たのちの上書や途中で発生する
・10%〜20%の押しが3度起こりその押し目の安値はそれぞれ直前の安値を上回る
保ち合いとブレイク
保ち合いの始まりを決定づけるポイントをピポットハイとピポットローと呼ぶ。
・ピポットハイ
保ち合いの天井
ここを境に上昇トレンドから反転する可能性が高い。
3本のローソク足のうち真ん中のローソク足の高値が両側の足の高値よりも高く、安値が両側の足の安値よりも高いもののこと。
・ピポットロー
保ち合いの底
ここを境に下降トレンドから反転する可能性が高い。
3本のローソク足のうち真ん中のローソク足の高値が両側の足の高値よりも安く、安値が両側の足の安値よりも安いもののこと。
こういった保ち合いのバランスが崩れることをブレイクアウトと呼ぶ。
ブレイクアウトの条件としては
①天井(底値)をハッキリと上回っていること
②高い出来高を伴い、上昇(下落)につれて出来高が増加していくこと
ブレイクアウトが起こったのちには出来高を伴わない押し(戻し)が起こり、押すたびに出来高が増加して再反発し株価が上昇(下降)していく。
市場の感情を示すローソク足
①流れ星
上ヒゲが長く、実体の小さいローソク足
弱さを表す。
高値圏で複数または高い出来高を伴って出現した場合は相場は下落する。
②ハンマー
下ヒゲが非常に長く、実体が非常に小さいローソク足
強さを表す。
底値圏で高い出来高を伴って出現した場合はトレンド反転により相場が上昇することを示す。
高値圏で現れたハンマーは首吊り線といい、弱さを示すものであるため注意
③足長同時線
十字線で足が長いローソク足
市場が優柔不断であることを表す。
これまでの市場の流れから反転を示すシグナルにもなる。
これまでが上昇トレンドであった場合は下降トレンドに、下降トレンドであった場合は上昇トレンドへの反転を示す。
ただし、これは出来高が平均以上の場合で少ない出来高での足長同時線は信用できない。
④長大線
市場の強い意志を表す。
平均以上の出来高を伴った大陽線は市場の強まりを、大陰線は市場の弱まりを示す。
⑤短小線
市場の弱い意志を表す。
平均以上の出来高を伴った小陽線は市場の弱まりを、小陰線は市場の強まりを示す。
⑥首吊り線
上昇トレンドの後の弱さを表す。
平均以上の出来高を伴った首吊り線が現れた後、平均以上の出来高を伴った流れ星が現れた場合市場の転換を裏付ける。
⑦ストッピングボリューム
強さを表す。
下降トレンドの際に出来高は平均を上回りながら徐々に増加し、陰線の実体が徐々に小さくなりながら長い下ヒゲを付けローソク足の上半分で引けることが続いた場合、上に反転する可能性が高まる。
⑧トッピングアウトボリューム
弱さを表す。
上昇トレンドの際に出来高は平均を上回りながら徐々に増加し、陽線の実体が徐々に小さくなりながら長い上ヒゲを付けローソク足の下半分で引けることが続いた場合、下に急落する可能性が高まる。
出来高・価格分析の基本
原則
値動きと出来高は比例する
株価の上昇(下落)には買い手(売り手)側にエネルギーが必要になる。
そのため、陽線であれば実体の小さい陽線ほど出来高が小さく、実体の大きい陽線ほど出来高が大きくなる。
このケースに反するローソク足がでた場合それは違和感のサインとなる。
(例)①→②→③→④の順に進む陽線
①実体:小 出来高:小
②実体:中 出来高:大
③実体:大 出来高:中
④実体:大 出来高:小
①:実体と出来高が比例している
②:出来高の割に上昇額が少なく、市場が弱くなっていることを示す
③:値上がりの割に出来高が少ない
④:値上がりの割に出来高が少なく、出来高自体も減少傾向にある
③、④は「買われすぎ」の状態にある
またこれは陰線で同じことが起こった場合は「売られすぎ」の状態であることを示す
トレンド転換点でのアクション
トレンド転換のサイン
原則
株価が移動平均線を超えた、もしくは割り込んだタイミング
・上昇トレンドへの転換
原則
ローソク足が陰線だが終値が移動平均線を上回った場合も、トレンド転換とみなして良い。だが、こういった場合はその後陽線のローソク足が移動平均線を上回った日の始値を上回りかつその時の移動平均線乖離率が2%を超えた時に買うのがおすすめ。
・下降トレンドへの転換
原則
ローソク足が陽線だが終値が移動平均線を下回った場合もトレンド転換とみなして良い。終値と移動平均線の差が小さいならば、陰線のローソク足が移動平均線を下回った日の終値を下回りかつその時の移動平均線乖離率が2%を超えた時に売る。終値と移動平均線の差が大きい場合は、その時点で売っても良い。
移動平均線の向きによる判定
・上昇トレンド=株価が移動平均線の上にいる+移動平均線が上向き
が原則だが、株価の低迷が続いていた場合移動平均線が上向きになるのに時間がかかる場合がある。
そういった場合は株価が移動平均線を超えた時点で上昇トレンドに乗ったとして新規買いしても良い。
・下降トレンド=株価が移動平均線の下にいる+移動平均線が下向き
が原則だが、株価は落ちる方がスピードが早く、移動平均線の下降を待ってからでは売却のタイミングで既に株価が相当落ちているということが多い。そのため、移動平均線の下に行ったことを下降トレンドとみなして売却するのがおすすめ。特に損切りの場合はこの意識は強い。
トレンド転換直後の急騰・急落
原則は終値を見て、その価格によって翌日買い/売りを実行するのが基本だが、場中で急激な株価の変動があった場合について。
市場全体(日経平均株価やTOPIX)が明らかな上昇トレンドである時の個別銘柄の上昇トレンド転換や市場全体が明らかな下降トレンドである場合の個別銘柄の下降トレンド転換は場中に買い/売りを実行すると良い結果が出やすい。
買いの場合
上昇トレンド転換確認後、どうしても買い逃したくない銘柄の場合、直近高値超えや移動平均線乖離率5〜10%地点で逆指値を指しておく。(損切りの際に損失率を抑えるために移動平均線乖離率5〜10%のところで指しておくのが良い)
売りの場合
下降トレンド転換確認後、株価急落のリスクに備えて直近安値割れや移動平均線乖離率5%程度地点で逆指値を指しておく。(移動平均線を明確に割り込んだと判断できる地点が移動平均線乖離率5%程度の地点であるため)
明確なトレンドがない場合
ボックストレンドや三角持ち合いトレンドの場合、移動平均線超えで買い、移動平均線割れで損切りとすると損切りを連発し損失が重なる。
そのため、レンジ内での高値を超えたところで買うのが良い。
押し目を待っていたが株価が上昇してしまった場合
自分が買いたいラインまで株価が落ちきらずに、下ヒゲをつけた後に反発した場合などは、買ってしまうのもあり。
ただし損切りラインは直近安値割れなどで設定しておくこと。
その他の考慮するべきファクター
①売買高
過去に突発的な高値が付いており、そこの売買高が急激に上がっている場合は高値掴みをしている人が多く、買値まで上がったら売り戻したいという思惑から売りが強くなり株価の上昇が抑えられる。
逆に、そういった銘柄の過去の突発的高値を超えた場合は買いの圧力が強いと言うことが言えるため、その後の急激な値上がりが期待できる。
②信用取引残高
信用買い→将来の売り需要
信用売り→将来の買い需要
信用買いが多い→株価が上がりにくくなる
信用売りが多い→株価が落ちにくくなる
信用買い残高÷信用売り残高を信用倍率といい、信用倍率が1.5以下なら将来の株価上昇が見込め、1以下なら株価上昇を大いに期待できる銘柄といえる。
売りのタイミング
原則
1.下降トレンド(*)になったタイミングで売る
(*)下降トレンド=25日移動平均線割れ
2.下降トレンドにある株は値下がりの可能性が高いため保有しない
移動平均線割れ以外の売りのタイミングは下記の4パターン
①直近安値割れ
上昇を続けてきた株が一度値下がりし、その後反発するも再度値下がりを始めた際に、前回の安値を下回った時点で売却する。
一方で、この手法は値下がり後の再反発からの上昇に対応しづらいというデメリットがあるため、判断が難しい場合は保有株式のうち半分を直近安値割れ、もう半分を移動平均線割れで売却するという方法もある。
②短期間での急騰
短期間で急激に株価が高騰した場合、25日移動平均線をラインとして売却の判断をすることが難しくなる。
そのため、
1.上昇トレンドでも一定額値上がりした場合が利食いを行うように決める(例:3倍まで上昇したら保有株式の1/3を売却)
2.ローソク足が株価が天井をつける形(*)になったら売却をする
3.5日平均移動線を下回った時点で売却をする
(*)天井形成時に出現しやすいローソク足
・大陰線
・長い上ヒゲ
・かぶせ線(1本目の陽線に対し、2本目の陰線の始値が1本目の終値よりも高く、終値が1本目の胴体にあるもの)
・たすき線(1本目の陽線に対し、2本目の陰線の始値が1本目の胴体の間にあり、終値が1本目の始値より安いもの)
・つつみ線(1本目の陽線に対し、2本目の陰線の胴体が1本目の胴体を全て包んでいるもの)
株価が急騰した際にこれらの形が現れると株価の天井の可能性が高まる。
また、上記のチャート+次の日の動きを見ることでより精度が上がる。
(例1)大陽線+長い上ヒゲ+大陰線
(例2)かぶせ線+大陰線
③吹き値の発生時
好材料の出現により一時的に株価の急上昇(20〜30%)が起こり、数日後に株価が元の値まで戻ってくることを吹き値と呼ぶ。
吹き値が起こると、急上昇時に高値掴みをしてしまった投資家が多く存在し、それらの戻り売りを消化しないとそれ以上に株価が上昇していかない。
そのため、今後の株価の上昇の衝撃となりうるため、他に有望な銘柄があればそちらに乗り換えるための売却を行うという考え方がある。
④損切り
損切りも「売り」であるため、原則としては下降トレンドに下がった段階で売る。
詳細は下記の4パターン
(例1:上昇トレンド転換直後に買ったものの、25日平均線を割り下降トレンドに移行したため損切り)
(例2:既に上昇トレンドにある株を買ったものの、25日平均線を割り、下降トレンドに移行したため損切り)
2.直近安値割れで損切り
(例1:高騰した株を押し目で買うものの、その後直近安値を下回ったため損切り)
(例2:底値圏から反発直後の株をかったものの、その後直近安値を下回ったため損切り)
(例:高騰を続けている株を買ったものの、5日移動平均線を割ったため損切り)
4.買値からの下落率を基準とした損切り
買いのタイミング
・原則
上昇トレンド(*)であること
(上昇トレンド=株価が移動平均線より上にある+移動平均線が上向き)
①上昇トレンドでの買いタイミング
主に3パターンに分類される。
⑴上昇トレンドへの転換直後
この時点は移動平均線がまだ上向きになっていない場合もある。
そのため、ここの時点での買い方は2通り存在する。
1.移動平均線が上向きになる前に買う
2.移動平均線が「横ばい」〜「やや上向き」に転じてから買う
(2)「押し目」後の反発買い
上昇トレンドに既に乗っている銘柄の一時的な値下がりを「押し目」と呼ぶ。
この押し目から少し反発したところで買いを入れる。
買う際に気をつける点は2つ。
1.株価が下がっている段階で買ってしまうと、上昇トレンドから下降トレンドに落ちていく状態で買ってしまうことを避けるために、反発を確認してから買う
2.移動平均線を割り込んでいる局面では下降トレンドにそのまま以降する可能性があるため、移動平均線を越えてから買う
(3)最近高値を超えた直後での買い
直近高値を超えた時点で買いを入れる。
ただし、移動平均線からの乖離が大きい場合、購入後の損切りのタイミングが難しくなるため、直近高値超え+移動平均線の乖離が少ないものを選ぶ必要あり。
(4)その他のパターン
株価が移動平均線との乖離が小さく、上昇トレンドにある場合は、(1)〜(3)の条件を満たしていなくても買って問題なし。
②下降トレンドでの買いタイミング
底値圏での買いや急落後のリバウンドを狙っての買いを入れることによって、利益を得る。
下降トレンドのため、リスクを抑えるための損切りは必須。
(1)底値と思われる株価から反発した時点での買い
株価の大幅な下落により、最近安値(=底値)がついた後、そこから数%反発した時点で買いを入れる。
損切りラインは底値を下回った時。
(2)二番底からの反発時点での買い
底値からの反発後、再度下げに転じるものの、底値を下回らずに再び反発が起こった時点(=二番底)で買いを入れる。
この場合は(1)よりも株価が底打ちし、上昇していく可能性が上がる。
損切りラインは二番底を下回った時、もしくは底値が近い場合は底値を下回った時でも可。
(3)株価が移動平均線を下回る状態での直近高値越え時点での買い
株価が下落を続けている間は直近高値を超えることはあまりない。
そのため、直近高値を超えたタイミングを株価が底入れしたタイミングとして買いを入れる。
損切りラインは二番底、または底値をを下回った時、または買い値から10%程度下落した時。
(4)テクニカル指標をもとに底打ちのタイミングを想定した買い
・「日経平均株価の25日移動平均線からのマイナス乖離率10%超」
・「25日移動平均線からのマイナス乖離率30%超」
・「25日騰落レシオ(*)の60%割れ」等
(騰落レシオ(%) = (一定期間の値上がり銘柄数/一定期間の値下がり銘柄数)*100)
25日騰落レシオが130%超=買われすぎ
25日騰落レシオが70%以下=売られすぎ
(5)急落する株価が底打ちした可能性の高い株価チャートの形となった時点
チャートの形が一定のものになったら買いを入れる。
・株価大幅下落時の大陽線
・株価大幅下落時の長い下ヒゲを伴った陽線/陰線
・切り込み線(1本目の陰線に対し、2本目の陽線の始値が1本目の終値よりも高く、終値は1本目の胴体の中間より上のもの)
・たすき線(1本目の陰線に対し、2本目の陽線の始値が1本目の胴体の間で、終値は1本目の始値よりも高いもの)
・つつみ線(1本目の陰線に対し、2本目の陽線の胴体が1本目の胴体を全てつつみこんでいるもの)
株価が長期的に下落を続けているところにこれらの形が現れると株価の底打ちの可能性が高まる。
また、上記のチャート+次の日の動きを見ることでより精度が上がる。
(例1)大陰線+長い下ヒゲ+大陽線
(例2)切り込み線+大陽線
ただし、損切りラインを考慮する必要あり。
(6)25日平均移動線の代わりに5日移動平均線を使用したトレンド分析
株価の底打ちを「株価の5日移動平均線超え」をしたかどうかで判断する。